平成27年度 特別支援教育啓発研修会

小学校・中学校・特別支援学校における特別支援教育の動向

今年度の特別支援教育啓発研修会は、関西国際大学教授中尾繁樹にご講演いただきました。参加者1140名が集う会場で、盛りだくさんの内容を、とてもやさしい語りかけで、笑いあり、動きありのあっという間の2時間でした。

特別支援教育≠障がい児教育

平成27年度 特別支援教育啓発研修会

「特別支援教育」とは、障がいの有無にかかわらず、すべての子どもたちのためにすべての教員がかかわる教育です。特別支援教育の本質は「子どもの実態把握」といわれています。「子どもの実態把握」とは障がいをみつけることではなく、子ども一人ひとりが何ができて何に困っているかを見極め、そして対応していくこと。それが本当の特別支援教育のポイントです。

特別支援教育が普及・定着すると、「いじめと不登校」を未然に防止する効果があるといわれています。でも残念ながら、まだ特別支援教育が普及・定着しているとは言えません。なぜなら、障がい児教育のままだからです。教室を飛び出す子どもに対してどういう指導をするかではなく、40人のクラス一人ひとりの困っていることを探してあげることが重要です。実態がわかれば、このようなことはなくなっていきます。「特別支援教育」は、予防の教育ともいえるのです。

鉛筆がうまく持てない子どもに、鉛筆の持ち方だけを教えても、鉛筆をうまくもてるようにはなりません。なぜ鉛筆をうまく持てないのかという広い視点が必要であり、様々な体の発達が関係していることの理解が必要になってきます。姿勢保持が難しく体を支えることが困難な場合は、体幹を安定させ、体力をつけることが必要です。「体を支持する・支える」力は、学習に向かう力の土台であり、姿勢維持や鉛筆の持ち方などの安定にもつながっていきます。


授業のユニバーサルデザインとは…

「授業もすべての子どもたちがわかるように工夫しましょう」という試みです。そのためにも、その子が何がわかって何がわかっていないのか子どもの実態把握をする必要があります。子どもは体づくりをして話を聞ける正しい姿勢をつくる。そして大人は子どもにとって、安心安全な空間をつくる。また、感謝・共感の言葉を子どもたちに伝えることも大事です。

特別支援学校・特別支援学級・通級指導教室に在籍している子どもたちの人数は多くなっています。支援が必要な子どもたちが増えていることは問題ではありませんが、それに対してどういう支援体制ができているかが問題です。子どもにとっての必要な支援とはなんなのかを、子ども中心に考えることが大切です。


先生と保護者との共有

“家にいる時の子ども”と“学校にいる時の子ども”の両方の情報をあわせてはじめて、子どもの全体像がみえます。ここの共有がしっかりしていないと、よりよい支援教育はできません。保護者の方が安心して子どもたちを育てられるように、先生方には3つの力を持って欲しいと思います。

  • 目で見る力(子どもが何に困っているのか、知識力)
  • 手で見る力(手で触ってわかる、実践力)
  • 心で見ることができる力(共感できる、感じる力)

平成27年度 特別支援教育啓発研修会

質疑応答は具体的でたいへんわかりやすく、とても勉強になりました。特に関西国際大学の生徒さんが、不登校や緘黙の子どもたちに関わり、寄り添っている現状を知り、若い力の偉大さを感じました。参加者の多くの方が、『うちの学校にもぜひ中尾先生に来ていただきたい』と願ったのではないでしょうか!


中尾繁樹
平成27年11月19日 福岡市民会館
講師:関西国際大学教授 中尾繁樹氏