第2回勉強会(平成22年10月25日)
テーマ : 「学校におけるいじめの現状と対応について」
講 師 : 福岡市教育委員会 指導部 学校指導課 課長 池田 一司 氏
まずは、福岡市におけるいじめの発生件数について。平成21年度に教育委員会に報告があったものは、小学校が10件、中学校が30件だった。ピークだった平成18年は、小学校が54件、中学校は140件(全国的にいじめが注目された年)。ここ数年は減少傾向にある。
学年別に見ると、中1、中2での発生が突出している。これは全国データでも同様である。
また、それまで全く接触がなかった子ども同士よりも、友達だった、仲が良かったなど、一定の人間関係にあった子ども同士において、問題が起きやすい傾向が見られる。
ではどのように対応していくか。福岡市では、次のような基本認識で臨んでいる。
- 「弱いものをいじめることは人間として絶対許されない」との強い認識を持つ。
- いじめられている側の立場にたった親身な指導を行う。
- いじめは家庭教育の在り方に大きな関わりを有していると思われるので、家庭との連携を十分に行う。
- 家庭・学校・地域社会などすべての関係者がそれぞれの役割を果たし、一体となって真剣に取り組む。
いじめの態様としては、以下のような種類が挙げられる。
心理的苦痛を与えるもの
- 冷やかしやからかい、悪口や脅し文句
- 仲間はずし、集団無視
- PCや携帯電話での誹謗中傷 など
物理的苦痛を与えるもの
- 金品を隠し、盗んだ
- 金品をたかる など
暴力的苦痛をあたえるもの
- 遊ぶふりをして叩いたり、蹴ったり
- ひどくぶつかったり、叩いたり
- 嫌なこと恥ずかしいこと、危険なことをさせる など
早期発見、早期解決のためには、学校・保護者・地域の連携が重要だ。
まず学校は、児童生徒の様子について、全職員で情報交換を行い、担任または一部の教師の指導ではなく、全職員が組織的に対応するよう、指導している。当該児童生徒や保護者との関係を重視して、担任、旧担任、同学年職員、部活動顧問などでチームを組織する。
一方、保護者・地域住民においては、いじめ防止対策委員会を中心にいじめの問題に関する認識を高め、いじめの早期発見や指導に取り組む。
そのように、「我が子」や「自分のクラスの子」という枠を超え、すべての大人が、すべての子どもたちを「地域の子」として見守り、積極的に関わり、情報交換や啓発活動を通じて連携していくことが大切。